三度の飯と本が好き。

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何者|内定出ないと焦るよね…就活していた頃を思い出す

朝井リョウ直木賞受賞作「何者」を読了しました。

 

大学生の就職活動がテーマ。これは就活を経験した人にはグサグサ刺さるのでは…。かくいう私もグサグサ刺さりました。

 

 

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この作品、ちょうど一年前にアマゾンプライムビデオで映画を観ました。映画が面白かったので原作を読んでみたいなぁと思っていて、やっと読めました( ^^ )

 


何者 (新潮文庫) [ 朝井 リョウ ]

 

 

あらすじ


就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたからーー。瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた5人は就活対策として集まるようになる。だが、SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする、本音や自意識が、彼らの関係を次第に変えて……。

 

 

「就活をみんなで頑張ろう」なんて幻想だと思う

 

私も経験がありますが、就活って最初はみんな一斉にスタートを切るので和気あいあいとするんですけど段々と格差が出てくるんですよね。

 

本作でも中々面接に進めない人と順調に面接まで行ける人で分かれます。そして知らない間に嫉妬してしまう。

 

内定が出たって聞いても素直に喜べなかったり、その会社の悪い噂を聞いてちょっと安心したり…。真剣に取り組んでるのに結果が出ないと、挫折を味わう人も多いのでは。

 

「何者」は就活が進んでいく中で焦りや嫉妬の感情が芽生えてくる過程がリアルに描かれていて、「分かるわー」と共感してしまいました。

 

 

登場人物のリアルな人間性も読みどころ

 

 

そして作中に出てくる登場人物たちが「こういう奴いるー!」という人たちばかりなのですよ。

 

特に光太郎と理香のような人。光太郎は要領が良くて人当たりも良い世渡り上手、理香はプライドが高いから自己主張が激しくて空気が読めないタイプ。

 

私の周りにも光太郎と理香は複数いました。就活って意外と成績の良い人が内定取れなかったり、逆にコミュ力高いけど勉強はあんまりって人に内定が出たりする。勉強ができる・できないよりは人間性を見られているような気がしました。

 

「何者」を読んだ後、私はこの中だと誰に近いのかなぁって考えたりするのも面白いです。

 

私はどちらかというと拓人に近いかなぁ。人のことをを分析しちゃう癖があるかも(・・;)でも、自分のことを少しでも良く見せようとする理香の気持ちも少し分かる。分かるからこそ、「この人、イタイわー」と思っちゃうのかもしれません。

 

拓人と理香は不器用で、自分を素直に表現するのが苦手。だから中々、最終面接まで行かない。私も中々最終まで進めなかったので、二人の気持ちが痛いほど分かる(T_T)

 

 

就活生のリアルな心情も印象的

 

「いつでもどこでも第一志望の顔しなきゃいけないのってつらいよな。そんなわけねえじゃん、てか面接官お前も就活のときそうだっただろ?ってなる」

 

いくらこちらから願い下げだったとしても、最終的に選ばれなかったということは、そこまで選ばれていたのに決定的に足りない何かがあったというふうに感じてしまう。ESや筆記試験で落ちるのと、面接で落ちるのとではダメージの種類が違う。決定的な理由があるはずなのに、それが何なのかわからないのだ。

 

 

本命じゃないけど内定がもらえなかった時のダメージは大きい。なぜ最終まで残ったのに、選ばれなかったのか。就活って小さな自分のプライドがズタズタに切り刻まれますよね…。

 

上記のような就活生のリアルな言葉、心情がたくさん書かれていて共感するところ多数。

 

 

まとめ

就活なんて10年くらい前のことですが、「何者」を読んだらあの頃のことを思い出してしまいました。

 

「何者」はミステリーではないのですが、伏線がきっちり張られています。そして登場人物5人の正体がラストで明かされていく面白さもあるので、ミステリーが好きな方も楽しめると思います( ^^ )

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

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