実際にありそうな設定にゾクゾク…。娘が転落死したのは事故なのか?それとも…|罪の余白
読んだ後に、イヤ〜な気持ちになる「イヤミス」は好きですか?
私は大好きです!!( ´ ▽ ` )
昨年から芦沢央のイヤミスワールドにどっぷり浸かり、ハマってしまいました。
今回はそんな芦沢央のデビュー作「罪の余白」をレビューします。
学校で転落死した娘を、知ろうとする父が行き着いた驚愕の真実とは--
高校のベランダから転落した加奈の死を、父親の安藤は受け止められずにいた。娘はなぜ死んだのか。自分を責める日々を送る安藤の前に現れた、加奈のクラスメートの協力で、娘の悩みを知った安藤は。(「罪の余白」 芦沢 央[角川文庫] - KADOKAWAより引用)
芦沢央さんはどんでん返しミステリーのイメージがあり、本作もどんな結末を迎えるのかな?とワクワクしていたのですが、どんでん返し要素は少なめでした。それでも夢中で読んでしまいました!
「学校」という世界は狭くて閉鎖的。だからこそ…
娘の加奈は高校1年生。ミッション系の女子校に通っており、同じクラスには親友の咲と真帆がいます。
一見、仲のいい三人組のように見えるけど実際のところは当人たちしか分からない。
特に女子グループは陰険なところがありますよねぇ。本作を読んで中高時代のことを思い出しました。
特に真帆が「自分が学校を休んでいる間に悪口を言われて翌日から無視されるかもしれない」という不安も分かる…!私も自分のいない時に悪口を言われるのが怖くて、一人でトイレに行ったりできなかったなぁ…。今思うと「気にしすぎだよ!」と思うけど、当時の私にはそこにしか居場所がないわけで。
こういう学校特有の閉鎖的な環境での不安感が真帆を通してリアルに描かれています。
真帆はいわゆる高校デビューした女の子で、中学生時代はオタクグループにいました。中学も同じでクラスも一緒だった咲は、可愛くて優しくて頭も良く、クラスの人気者。スクールカーストの上位にいる女の子でした。
中学の頃に咲はあることをきっかけにクラスから孤立してしまいすが、咲は気にせず一人で堂々と行動していました。それを見て真帆は咲に憧れを抱くようになります。そして高校では見事、一緒のグループに。咲に嫌われたくないという一心で真帆は咲の言いなり状態。加奈が亡くなった後もそれは続きます。
もう真帆は咲の親友というよりは下僕という感じ。知らないうちにコントロールされている様子にゾッとしました。そして咲の二面性も怖すぎる…。
愛する子供を突然失った父親の心情を思うと胸が締め付けられる
交通事故などもそうですが、ある日突然大切な人の命が奪われたら…と思うと胸がキューっとなります。
娘の死の真相を知った父親はある策を練りますが、その展開にドキドキしながら読みました。途中で読むのをやめられなくて、後半は一気読み。
正解のない答えについて悶々としてしまいますが、無理に答えを出さなくても良いのかもしれません。
私も今、これを書きながら悶々としています。心が揺さぶられる小説でした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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