三度の飯と本が好き。

食べることと本を読むのが好きな私の書評ブログです

雪国|多くを語らないからこその面白さ。

夏って名作を読みたくなりませんか?

おそらく読書感想文の影響だと思いますが、大人になった今でも夏が来ると一冊は読みたくなる衝動に駆られます。

 

そんな衝動に駆られて読んだのが、川端康成の「雪国」。

 

 


雪国 (角川文庫) [ 川端 康成 ]

 

 

言わずと知れた日本の名作!お恥ずかしいですが初めて読みました。文豪作品って難しいイメージがあって中々読む気になれないのが多いというか。←言い訳

 

お堅いイメージのあった雪国ですが、全然!文体もすごく読みやすいし、ページ数も200ページ弱なのでサクッと読めます。

 

ただし、サクッと読めるからこそ「結局何だったの?」となりがちなのが純文学。

 

私は純文学作品が好きですが、解釈に正解がないから好きなのです。自分で好き勝手に解釈できるって楽しい!「雪国」も余白があるからこその楽しさがあり、とても好きな作風です。

 

ここからは予備知識のない私の勝手な感想を書くので、とんちんかんなことを書いていたらごめんなさい(^◇^;)

 

 

※ネタバレを含みますので、未読の方はご注意ください

 

 

 

 

 

 

あらすじ

無為徒食の男、島村は、駒子に会うために雪国の温泉場を再訪した。駒子はいいなずけと噂される好きでもない男の療養費のために芸者をしている。初夏の一夜以来、久々に会えた島村に駒子は一途な情熱を注ぐが、島村にとって駒子はあくまで芸者。島村は雪国への汽車で会った女、葉子にも興味を抱いていて…。「無為の孤独」を非情に守る男と、男に思いを寄せる女の純情。人生の悲哀を描いた著者中期の代表作。

 

 

無為徒食とは、今でいうニートみたいな人のことだと勝手に解釈しています。

 

この物語の主人公・島村という男は妻子持ち。親からの財産を譲り受け、それで暮らしています。そして一人で雪国(新潟県の湯沢温泉が舞台)を数回訪れます。そこで待っているのが芸者の駒子という若い女性。彼女は島村のことを好意的に思っていて、訪れる時を待っています。

 

そこに現れたのが、雪国へ向かう汽車の中で出会った美しい声の女性・葉子。彼女は駒子の許嫁といわれていた行男という男性に付き添って雪国にやってくる。島村はそんな彼女に惹かれるも、葉子は行男を亡くなっても愛し続けていることを悟る。

 

雪国は、この島村・駒子・葉子の三人を軸に物語が進んでいきます。

 

 

 

島村にとっての雪国とは、どういう存在だったのか?

 

私が雪国を読んで「島村はなぜ一人で雪国を訪れるのか」という素朴な疑問が浮かんできました。

 

無為徒食でありながら妻子持ち。文筆家らしいけど、仕事をしている様子はない。東京での暮らしぶりについては描かれていないので想像の域ですが、東京という現実が窮屈だったのだろうと推測します。

 

時代的に妻は専業主婦かもしれない。子供もきっとまだ小さいはず。彼にとって家は心安らぐ場所ではなかったのかもしれません。

 

雪国だけが心休まる場所だったのでしょうか。そこには美しい駒子という芸者もいる。自分を好いてくれている。彼にとっては楽園のような場所だったのかもしれません。

 

とはいえ、島村の奥さんからしたらとんでもない裏切り行為ですけどね。政略結婚で愛のない結婚かもしれない。だから奥さんは島村が一人で雪国に行くことを許しているのかもしれない…なんて想像を働かせてしまいました。こうやって色々想像するのが楽しいです。

 

 

 

駒子はなぜ東京についていかないのか?

 

 

下手な不倫劇であれば、旅先で恋に落ちる→離れたくないから東京についていく・もしくは後から追ってくる→修羅場!というのが定番ですよね?笑

 

でも駒子はじっと待っているんですね。「連れて行って」とも「東京に行くわ」ともいわずに、島村が自分を連れて行ってくれるまで待つんです。駒子よ(T ^ T)

 

「一年に一度でいいからいらっしゃいね。私のここにいる間は、一年に一度、きっといらっしゃいね」

 

島村とは一緒になれないと分かっているからこそ、雪国を訪れた時だけ会うようにしていたのか?そう思うと駒子、健気…!そして気づくと、島村なんてやめとけ!とお節介を焼きながら読んでいました(笑)

 

東京に行きたいと行って、拒否されるのも嫌だったのかなぁ…。

 

 

 

しかし、葉子には「東京に連れて行ってあげようか」と言う…!

 

おい、島村!とツッコミたくなってしまう。これは葉子が「自分も東京に行く」と言ったから「じゃあついでに」感覚だと思いますが(^^;)

 

あと、葉子は自分に恋をしていないと分かっていたからなのかもしれません。亡くなった行男のことをずっと想い続けているから気軽に誘えたのかもしれません。

 

 

 

そして唐突に物語は終わる。

 

 

「どうして私を連れて行かないの?冷たくなって来て、いやよ」と心情を吐露した駒子。そのあと唐突に火事が発生!

 

火事の発生場所の二階から女が落ちる。その女は葉子だった。泣き叫ぶ駒子とともに物語は終わります。

 

葉子はなぜ二階から転落したのか。葉子の埋められない孤独が死に向かわせたのかもしれません。行男が亡くなり、将来の希望が見えなかったのでしょうか。行男のもとに行きたかったのかもしれません。

 

この悲しい結末が暗に示すのは、島村と駒子のこの先の関係性なのかもしれないと思いました。島村は東京に戻り、駒子は雪国で芸者として働く。次の冬、島村は雪国を訪れないかもしれません。二人は二度と会うことはないのかもしれない。そんな展開を暗示しているように感じました。

 

 

 

最後に

 

川端康成著「雪国」の感想を長々と書きました。

 

今年NHKのBSでスペシャルドラマとして放送されていたそうですね。高橋一生が島村で、奈緒が駒子。駒子はイメージとぴったり、納得の配役ですが島村は小太りの設定だから高橋一生は違う!と思っちゃいました(笑)でも高橋一生なら駒子の気持ちもわかる…。そういう意味ではぴったりの配役なのかな?笑

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

▽良かったらクリックで応援お願いします

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

 

PVアクセスランキング にほんブログ村