三度の飯と本が好き。

食べることと本を読むのが好きな私の書評ブログです

自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ|疲れた現代人にこそ読んでほしいサプリメント詩集|永遠の詩02

7月最後に読んだ本は、茨木のり子さんの詩集です。

 

 

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詩集は初めて読んだのですが、「自分の感受性くらい」という詩を読んでボロボロ泣いてしまいました。

 

悲しいわけではなくて、茨城のり子さんに一喝された気がして元気がもらえたんです。それが嬉しくて泣いてしまったっていう。

 

 


永遠の詩02 茨木のり子【電子書籍】[ 茨木のり子 ]

 

 

 

パワフルな詩。だけど熱苦しくない。

 

 

読み終えて感じたのは、良い本を読んだな!っていう達成感でした。短い文章の中に込められた想いがとても分かりやすい言葉で紡がれている。詩を読む初心者の私がすっかり詩の魅力に取り憑かれてしまいました。

 

茨城のり子さんの詩は悲壮感がなくて元気をもらえる詩が多い。今は感染症や円安、物価高など暗いニュースが多くて気持ちも沈みがちですが、そんな今だからこそ読んで欲しいなと思います。

 

体育会系のノリではなく、静かな闘志を感じました。

 

 

わたしが一番きれいだったとき
わたしはとてもふしあわせ
わたしはとてもとんちんかん
わたしはめっぽうさびしかった
だから決めた できれば長生きすることに
年とってから凄く美しい絵を描いた
フランスのルオー爺さんのように
              ね

 

 

この「わたしが一番きれいだったとき」は有名ですよね。

 

私も一部は知っていましたが、全文を読んだのは初めてでした。

 

引用したのは私のお気に入りの部分。青春時代を戦争によって奪われた著者は長生きすることで青春を取り戻そうと思ったのでしょうか。とても前向きで励まされました。

 

私ならもっと卑屈に考えていたかもしれません。若さはお金で買えないからこそ価値がある。それを国の都合で奪われた。それを悲観せずに「生きてやるで!」とパワーに変える。すごいなぁと思いました。

 

 

初心消えかかるのを

暮しのせいにはするな

そもそもが ひよわな志にすぎなかった


駄目なことの一切を

時代のせいにはするな

わずかに光る尊厳の放棄


自分の感受性くらい

自分で守れ

ばかものよ

 

 

冒頭にも書いた「自分の感受性くらい」という詩。今に通ずるものがあると思いませんか?特に「駄目なことの一切を 時代のせいにはするな」という部分がガツンと響きました。

 

例えば給料が低い、正当に評価されてない、それは不景気のせいだ!など、上手くいかないことがあると私達はついつい時代のせいにしてしまいますが、茨城のり子はそれを許しません。「わずかに光る尊厳」を放棄するなと喝を入れてくれます。

 

めそめそしないで前を向こう。そう思わせてくれました。

 

 

 

一人でいるのは賑やかだ

誓って負けおしみなんかじゃない

 

一人でいるとき淋しいやつが

二人寄ったら なお淋しい

おおぜい寄ったなら

だ だ だ だ だっと 堕落だな

 

 

私が最も共感した詩が「一人は賑やか」。

 

一人でいるのは淋しいと思われがちですが、一人で過ごす時間は大切な時間。自分を成長させる時間であり、有意義に過ごせる人になりたいと思っています。

 

この詩は、まだ見ぬ恋人に向けてのメッセージです。茨城のり子さんの理想の男性像なのかもしれません。精神的に自立していて、群れない人って素敵ですよね。

 

 

 

最後に

 

 

詩集をオススメしたい人は、

・忙しくて物語を読む時間がない方

・なんだか気持ちが沈むなぁと感じている方

・ゆっくりしたい時に読む本を探している方

です( ^^ )

 

今回は王道の茨城のり子さんを読みましたが今の時代を生きている人の詩も読んでみたいなぁと思いました。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

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雪国|多くを語らないからこその面白さ。

夏って名作を読みたくなりませんか?

おそらく読書感想文の影響だと思いますが、大人になった今でも夏が来ると一冊は読みたくなる衝動に駆られます。

 

そんな衝動に駆られて読んだのが、川端康成の「雪国」。

 

 


雪国 (角川文庫) [ 川端 康成 ]

 

 

言わずと知れた日本の名作!お恥ずかしいですが初めて読みました。文豪作品って難しいイメージがあって中々読む気になれないのが多いというか。←言い訳

 

お堅いイメージのあった雪国ですが、全然!文体もすごく読みやすいし、ページ数も200ページ弱なのでサクッと読めます。

 

ただし、サクッと読めるからこそ「結局何だったの?」となりがちなのが純文学。

 

私は純文学作品が好きですが、解釈に正解がないから好きなのです。自分で好き勝手に解釈できるって楽しい!「雪国」も余白があるからこその楽しさがあり、とても好きな作風です。

 

ここからは予備知識のない私の勝手な感想を書くので、とんちんかんなことを書いていたらごめんなさい(^◇^;)

 

 

※ネタバレを含みますので、未読の方はご注意ください

 

 

 

 

 

 

あらすじ

無為徒食の男、島村は、駒子に会うために雪国の温泉場を再訪した。駒子はいいなずけと噂される好きでもない男の療養費のために芸者をしている。初夏の一夜以来、久々に会えた島村に駒子は一途な情熱を注ぐが、島村にとって駒子はあくまで芸者。島村は雪国への汽車で会った女、葉子にも興味を抱いていて…。「無為の孤独」を非情に守る男と、男に思いを寄せる女の純情。人生の悲哀を描いた著者中期の代表作。

 

 

無為徒食とは、今でいうニートみたいな人のことだと勝手に解釈しています。

 

この物語の主人公・島村という男は妻子持ち。親からの財産を譲り受け、それで暮らしています。そして一人で雪国(新潟県の湯沢温泉が舞台)を数回訪れます。そこで待っているのが芸者の駒子という若い女性。彼女は島村のことを好意的に思っていて、訪れる時を待っています。

 

そこに現れたのが、雪国へ向かう汽車の中で出会った美しい声の女性・葉子。彼女は駒子の許嫁といわれていた行男という男性に付き添って雪国にやってくる。島村はそんな彼女に惹かれるも、葉子は行男を亡くなっても愛し続けていることを悟る。

 

雪国は、この島村・駒子・葉子の三人を軸に物語が進んでいきます。

 

 

 

島村にとっての雪国とは、どういう存在だったのか?

 

私が雪国を読んで「島村はなぜ一人で雪国を訪れるのか」という素朴な疑問が浮かんできました。

 

無為徒食でありながら妻子持ち。文筆家らしいけど、仕事をしている様子はない。東京での暮らしぶりについては描かれていないので想像の域ですが、東京という現実が窮屈だったのだろうと推測します。

 

時代的に妻は専業主婦かもしれない。子供もきっとまだ小さいはず。彼にとって家は心安らぐ場所ではなかったのかもしれません。

 

雪国だけが心休まる場所だったのでしょうか。そこには美しい駒子という芸者もいる。自分を好いてくれている。彼にとっては楽園のような場所だったのかもしれません。

 

とはいえ、島村の奥さんからしたらとんでもない裏切り行為ですけどね。政略結婚で愛のない結婚かもしれない。だから奥さんは島村が一人で雪国に行くことを許しているのかもしれない…なんて想像を働かせてしまいました。こうやって色々想像するのが楽しいです。

 

 

 

駒子はなぜ東京についていかないのか?

 

 

下手な不倫劇であれば、旅先で恋に落ちる→離れたくないから東京についていく・もしくは後から追ってくる→修羅場!というのが定番ですよね?笑

 

でも駒子はじっと待っているんですね。「連れて行って」とも「東京に行くわ」ともいわずに、島村が自分を連れて行ってくれるまで待つんです。駒子よ(T ^ T)

 

「一年に一度でいいからいらっしゃいね。私のここにいる間は、一年に一度、きっといらっしゃいね」

 

島村とは一緒になれないと分かっているからこそ、雪国を訪れた時だけ会うようにしていたのか?そう思うと駒子、健気…!そして気づくと、島村なんてやめとけ!とお節介を焼きながら読んでいました(笑)

 

東京に行きたいと行って、拒否されるのも嫌だったのかなぁ…。

 

 

 

しかし、葉子には「東京に連れて行ってあげようか」と言う…!

 

おい、島村!とツッコミたくなってしまう。これは葉子が「自分も東京に行く」と言ったから「じゃあついでに」感覚だと思いますが(^^;)

 

あと、葉子は自分に恋をしていないと分かっていたからなのかもしれません。亡くなった行男のことをずっと想い続けているから気軽に誘えたのかもしれません。

 

 

 

そして唐突に物語は終わる。

 

 

「どうして私を連れて行かないの?冷たくなって来て、いやよ」と心情を吐露した駒子。そのあと唐突に火事が発生!

 

火事の発生場所の二階から女が落ちる。その女は葉子だった。泣き叫ぶ駒子とともに物語は終わります。

 

葉子はなぜ二階から転落したのか。葉子の埋められない孤独が死に向かわせたのかもしれません。行男が亡くなり、将来の希望が見えなかったのでしょうか。行男のもとに行きたかったのかもしれません。

 

この悲しい結末が暗に示すのは、島村と駒子のこの先の関係性なのかもしれないと思いました。島村は東京に戻り、駒子は雪国で芸者として働く。次の冬、島村は雪国を訪れないかもしれません。二人は二度と会うことはないのかもしれない。そんな展開を暗示しているように感じました。

 

 

 

最後に

 

川端康成著「雪国」の感想を長々と書きました。

 

今年NHKのBSでスペシャルドラマとして放送されていたそうですね。高橋一生が島村で、奈緒が駒子。駒子はイメージとぴったり、納得の配役ですが島村は小太りの設定だから高橋一生は違う!と思っちゃいました(笑)でも高橋一生なら駒子の気持ちもわかる…。そういう意味ではぴったりの配役なのかな?笑

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

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むらさきのスカートの女|彼女は本当に「変な人」なのか?

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私が今、一番ハマっている作家、今村夏子さん。
芥川賞受賞作の「むらさきのスカートの女」がめちゃくちゃ面白かったです。
 
※がっつりネタバレはしませんが、多少のネタバレがあります。少しでもネタバレは嫌だ!という方は読了してから読んでくださいね!
 
 
 
 

あらすじ

「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性が気になって仕方のない〈わたし〉は、彼女と「ともだち」になるために、自分と同じ職場で彼女が働きだすよう誘導し……。ベストセラーとなった芥川賞受賞作。

 

 

ただの観察日記ではない…

むらさきのスカートの女は、一週間に一度くらいの割合で、商店街のパン屋にクリームパンを買いに行く。わたしはいつも、パンを選ぶふりをしてむらさきのスカートの女の容姿を観察している。

 

このように語り手の女の観察日記のような形式で物語は進んでいきます。

読んでいくうちに、どんどん感じる違和感。

むらさきのスカートの女も気になりますが、私は語り手である「自称・黄色いカーディガンの女」の方が気になりました。

読んでいくうちに、むらさきのスカートの女よりも「黄色いカーディガンの女」の方がおかしいのでは?と感じずにはいられませんでした。

 

 

 

友達になりたいけど、どうすれば良いのか分からない

 

黄色いカーディガンの女はむらさきのスカートの女と友達になりたくて、自分の職場に彼女が応募するよう仕向けます。

その描写もすごく面白くて、一人でニタニタ笑ってしまいました。笑

 

求人情報誌が新しく発行されるたびにコンビニの雑誌コーナーまで取りに行き、それを専用シートに置くのはわたしの役目

 

そんなことするより、サクッと知り合って自分の職場に誘えば良いのに!

なんて思っちゃう自分と、黄色いスカートの女の気持ちが少し分かる自分がいる。

あの子素敵だなぁ、友達になりたいなぁと思う人っていますよね。

でも、中々自分からは話しかけられない。

拒絶されたら怖い、そもそも何を話せば良いのかわからない…。

 

黄色いカーディガンの女も、もしかしたら「何を話せば良いのかわからない」から、観察して様子を伺っているのかもしれない。

 

そう考えると、自分の中にも黄色いカーディガンの女の要素が少しはあるのかも…。なんて思ったり。

何事も度を越さないようにしないといけませんね(^◇^;)

 

 

 

むらさきのスカートの女は意外と普通の女の子かも?

 

読み進めていくうちに、むらさきのスカートの女は「意外と普通じゃん」と思えてきました。

 

黄色いカーディガンの女と同じホテルの清掃バイトを始めるのですが、挨拶もできるし仕事を覚えるのも早い、先輩スタッフと雑談もできるなど意外と社交スキルがあることがわかります。

 

それに比べると語り手の女はまるで幽霊。

職場の人からは存在を「自然と無視」されている状態。

むらさきのスカートの女とも全く会話しようとしません。

 

もしやこの語り手は本当に幽霊なのだろうか!?と疑ってしまうほどでした。

 

そこからさらに黄色いカーディガンの女の執拗な観察行為はもうストーカー。

いや、最初からずっとストーカーなんですけど(;゜0゜)笑

ストーカー行為に拍車がかかっていき、読んでいる間ずっとザワザワと胸騒ぎが止まりませんでした。

 

 

 

まとめ

むらさきのスカートの女の印象が物語を通して、どんどん変化するのが本作の見どころではないでしょうか。

そして、本当におかしい・奇妙なのは誰?と考えてはゾワゾワする…。

読んだ後もしばらくは余韻に浸るほど、物語の中に入り込んでしまいました。

こんな作品を書ける今村夏子さん…おそろしい子っ!!

 

 

 

最後までお読みいだだき、ありがとうございました。

 

 

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はじめまして!自己紹介

はじめまして。

 

普段はTwitterに読了した本の感想をツイートしていますが、

もっといっぱい語りたい!

と思う本がたくさんあって、ブログを始めることにしました。

 

 

簡単に自己紹介を!

好きな本のジャンルは、

・純文学

・ミステリー

・グルメ小説

・エッセイ

 

好きな作家さんは、

綿矢りさ

島本理生

村田沙耶香

・今村夏子

西加奈子

川上弘美

・北大路公子

伊坂幸太郎

 

 

女性作家さんの本を読むことが多いです。

特に綿矢りさ西加奈子さんが大好きです( ^^ )

ハマっているのは、今村夏子さん。

読んでいる時に感じる違和感、ざわざわする感じが癖になります(笑)

 

 

それから、暮らしに関するブログをメインにやっています。

家計管理が主で、年間貯金額など

我が家の家計状況を赤裸々に書いています。

 

www.compact-na-kurashi.com

 

 

転勤族なので、

「少ないもので暮らす」をモットーにしているため

紙の本は定期的に見直しています。

好きな作家さんの本や、これは捨てられないな!って思う本は

電子書籍で買うことが多いです。

 

でも紙の本はインクの匂いや紙の質感、

裏表紙のデザインなど好きなので完全に買うのはやめられません( ^ω^ )

 

 

はてなブログは初めてなので、

使い勝手が分からないまま始めております(・・;)

 

読みにくかったらすみません…

楽しく更新していきたいと思っていますので、

よろしくお願い致します!

 

 

Twitterもよろしくお願いします▽

 

 

 

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